2000年 30歳 信用金庫退職

 私は、神戸の短大を卒業後、地元の信用金庫に入庫し9年余り勤めましたが、30歳を機に妊活の為退職いたしました。


 退職後は、歯科助手のパートをしながら不妊治療をしていましたが、なかなか子宝に恵まれず、悶々とした日々を送っておりました。

 

そして、子供を持つ事に執着していた気持ちを一旦手放そうと、不妊治療を諦め、これからの私の人生、子供のいない生活の中に自分の生きがいを見つけよう‼

と思って模索していた時にヨガに出会います。

 

中学・高校と一応、運動部には所属しておりましたが、特に運動が得意な訳でもなく

体を動かす事が好きでな訳でもありませんでした。

 

でも、ヨガをして、足先、手先の1本1本から頭頂まで、体全体を大きく動かし開いていく事で心も開かれていく。

その気持ち良さに、一気に魅了されていきました。

そして、毎日好きなヨガが出来、かっこいいインストラクターという職業に憧れ、いつか私もインストラクターになりたいと思うようになりました。

 

しかし、インストラクターを目指すには、私の体にはひとつ難点がありました。

 

というのも、小学生の時、私は突発性脊柱側弯症である事が分かりました。

いわゆる、体の大黒柱である背骨がS字状に歪んでしまう疾患です。

これは生活習慣によってできた歪みではなく、未だ原因が分かっておりません。

その為、骨の成長に合わせてこれ以上湾曲が大きくならないように、これ以上曲がると手術も考えますと言われていたので、夜間は脇の下から骨盤までを固定するようにコルセットをつけて生活してしていました。

しかし、これは進行を防ぐためだけであって、治る事はありませんでしたので、

今でも曲がった背骨のまわりの筋肉はとても硬直しやすく背中が硬いので、ヨガのインストラクターになるにしては、出来ないポーズや無理なポーズが多く、当時はインストラクターになる事を断念いたしました。

 

何もしなければ硬くなった筋肉が血流を悪くし、自律神経にも悪影響を与えるので

それからも、自分の為にはヨガを続けておりました。

そうすると、

2004年、自然妊娠いたします。

 

そして2005年 第一子となる男の子を無事、出産いたしました。

 

その後は育児に専念しながらも、自分で家でヨガをしたり、たまに気分転換程度にヨガ教室に通ったりしておりました。

 

そんな中、友達が「体が硬くてもできる気持ちいいタイ式ヨガがあるよ」とルーシーダットンを教えてくれました。

 

ルーシーダットンを受けた最初の印象は、体の硬い私でも無理なく出来る‼

そして、11つのポーズが終わった後、体の中の血液やリンパ液、そしてエネルギーがフワーと流れる感覚がはっきりと体感できる‼というものでした。

 

これなら、私にも出来る‼

そしてこの気持ち良さを伝えていきたい‼と思い

迷いなく養成講座に進む事を決意しました。

この時、息子は3歳でしたが保育園に預けながら養成講座に通いました。

 

そして、2010年、40歳で念願のインストラクターになります。

しかし、インストラクター資格は取得したものの、みなさんの前でレッスンする自信がなく、またどう広めていったらいいのかも分かりませんでしたが、あれこれ考えていても仕方ない。とにかくやってみよう‼と思い

思い切って保育園のママ友に、こんな資格を取ったんだけど私の練習も兼ねて、体験してくれない?とお願いしたら快く引き受けてくれ

気持ち良さを感じていただけたようで、友達から友達へ。

またその友達から友達へとどんどん広がっていきました。

最近では、SNSの普及によりネットでの検索が多い中、やはり元祖口コミの力は凄いな‼

と今でも思います。

その時は、地元の公民館や貸教室を借りてレッスンをしていました。

 

でも、お客様が増えていく反面、その頃の私はレッスンをこなす事だけに必死でレッスンを楽しむ余裕は全くなく、毎日が緊張の連続でした。

 

今思えば、そんな毎日の緊張が知らず知らずに

私の体に負担をかけていたのかも知れません。

 

2011年に受診した、子宮頸がん検査で異形成細胞が見つかります。

何度か検査した結果、子宮円錐切除手術を受けた方がいいという事で手術を受けます。

 

その後は、3か月、半年と定期検査を受けていましたが、2013年、再度、異常細胞が見つかります。

 

その時、私は

ただ悪い部分を取っただけではだめだ。

根本から体を変えていかなければ今後も繰返すだけだと思い

「人はなぜ、病気になるんだろう?」と考えはじめました。

 

そして、全ての病気の原因が血流にあるといと事が理解でき、

冷えを改善して体を温め、免疫力を上げていく事が大切だと気付いた時によもぎ蒸しに出会います。

 

はじめは、自分自身の体をケアしていく為によもぎ蒸しをしていましたが、

よもぎ蒸しもみんなに伝えたくなってきました。

 

そして、今私のやっている自分で体を動かし、筋肉と呼吸のポンプ作用で血流を良くしていくルーシーダットンと

スチームの効果と漢方薬草の効果、黄土の遠赤外線効果によって、体を芯から温め血流を良くするというよもぎ蒸し、この2つの相乗効果で、より生き生きと毎日を過ごせる元気な女性を増やしていきたい。と思いました。

 

そして、おうちサロンとしてよもぎ蒸しをしようと思いましたが、よもぎ蒸しの漢方のにおいが苦手だと主人と子供に言われ、家でする事は諦めました。

 

それならいっそ、どこか別の場所でしたらいいのでは?

癒される空間を作りたいなと思い始めました。

でも、それは夢のような話だと思っていました。

 

すると、その何か月後かに、英会話教室の運営を考えていた友達が補助金制度があるよ。

私は挑戦してみるけど、一緒に挑戦しない?と声をかけてくれました。

 

その時、スタジオを持つなんて夢のようだと思っていたのは、初期投資にかける資金の問題が一番大きく、もしかしてそこがクリアになれば夢ではないかも。と思い

それなら、わたしもダメ元で挑戦だけしてみようかと早速、事業計画書の作成にとりかかりました。


でも、この事業計画書がなかなか難関でした。

何度も何度も書き直し書き直し。

細かい数字とも向き合わなくてはなりません。

何度か心折れそうになりましたが、

何度も書いていくうちに自分のやりたい事。

ビジョンがはっきりと見えてきます。

 

そして具体的に、こんな空間が欲しい。

スタジオに入った瞬間に異空間の空気が流れるような場所、そしてそこに、来てくださった方と一緒に体を動かし呼吸している姿を想像すると、ワクワクが止まらなくなり夢は膨らむ一方で、もし、補助金の交付を受けられなかったとしても、どうしてもこの計画を前へ進めたいと思うようになりました。

 

その強い思いが事業計画書から伝わったのでしょうか。

 

無事に補助金の交付を受けられる事になり、遠い未来の夢だと思っていたスタジオを

翌年2014年オープンする事ができました。

 

でも、それが私の終着点ではありません。

もっともっと、ルーシーダットンとよもぎ蒸しを普及していく為に

 

1人で行うタイ古式マッサージだといわれるルーシーダットンのルーツでもある

タイ古式マッサージの手法を理解する事で、より深くルーシーダットンをお伝えする事ができるんじゃないかと思い、現在取得中です。

 

そして、今年に入り、日本ルーシーダットン普及連盟のスーパーバイザーに昇格する事が出来、私自身がインストラクターの養成講座を開講し育成していけるようになりました、

 

今、こうして改めて今までの道のりを振り返ってみると

小さな不安や悩み、迷いは今も本当にたくさんたくさんありますが

私の中で、大きな苦労をしてここまできたなという感覚はなく

ただ、流れに上手くのれてきたんじゃないか、と思います。

 

勿論、その中には、「自分はこれが好き、自分はこうありたい‼」というブレナイ思いがあったからこそ、流れが来た時には迷わず、その波にのれたんだと思います。

 

 そして、もう一つ、忘れてはならないのは家族の協力です。

石橋を10回以上叩いてから渡るような堅実な主人は、当時こんな事をしたいんだけど…

と言った時、計画が甘すぎる、リスクなく今まで通り気楽に好きな事が出来ればいいじゃないか。

と反対しましたが、この時すでにやる気に満ちていた私の思いに負け、半ば止められないと思ったのか、自分で責任をもってやるのならと承諾してくれました。

今では主人の休日、土曜日に私が仕事に出かける時は、頑張ってと快く送り出してくれます。

 

あと創業前から息子との時間はかけがえのないものだと思っていましたので、そこは大切にしながら仕事をしたいと思っていましたが、オープン当初は慣れるまで要領がつかめなかったり、イベントやスキルアップの講座にでかけたりする時などは、やはりどうしてもそちらを優先してしまうので、息子には寂しい思いをさせたり、両親にお世話になったりしてしまいます。。

そんな時は、罪悪感を感じたりした時もありましたが、小学5年生になった今では

私が仕事する姿を見て「ママ、かっこいい、輝いているから頑張って」と言ってくれるようになりました。

 

こんな家族の応援は本当になによりも心強いものです。

 

不妊治療で悩んでいた事、病気が教えてくれた事。

全て、私には必要な事で、また絶妙なタイミングで私に気付かせてくれた事で

今があるんだと思います。

 

自分にとって、一見不都合に思えてしまう事や試練だと感じる事が、もしかして何かのメッセージであったりターニングポイントなのかも知れません。

 

これから先、スタジオを運営していくにあたり、不安や悩み、迷いはつきないとおもいます。

でも自分の好きな空間に来て下さるお客様がいて、喜んで下さる事が

それ以上に私のやりがいとなり、喜びとなる事に間違いはありません。

 

そしてこれから先、10年後20年後、毎日を生き生きと美しく生きていける女性であるように

自分自身の為にもルーシーダットンとよもぎ蒸しは続けていきたいと思っています。


    2017.3.10 みなとべっぴんフォーラム

「私の起業・創業体験」より一部抜粋